直流モーターを少しでも長く活用いただくために
直流モーターは今でもプレス機などで広く用いられていますが、製造年が古いものも多く、故障や不良の際はメーカーの保証外/修理対象外となり、新品交換が推奨されることもあります。ただし、廃番扱いの直流モーターがあるため、新品交換といっても、交流モーターへの更新が必要になるケースも多いようです。この場合、モーター交換だけで済むわけではなく、インバーター化や制御盤変更などの設備更新も必要となり、膨大な工事費用がかかることもあります。
整備できる業者の数も減少傾向
しかし、最近では直流モーター整備ができる業者が減少しているとの情報をよく耳にします。そのせいか、最近、全国各地から、直流モーターの整備に関して、当社にお問い合わせをいただく機会が増えています。
もしもに備えてぜひ整備のご検討を!
当社は、少しでも長くお使いの直流モーターを活用していただくため、直流モーター整備を実施しています。お客様の中には、機械の導入後、整備を一度も行っていない方もいらっしゃるかもしれません。「予備機がないから故障してからの修理だと操業に影響が出る」などの不安があれば、是非、この機会に整備をご検討ください。
直流モーターでよく見られる症状
直流モーターの整備で最もよく見られる症状が、整流子(コンミテータ―・コミテーター・コンミュテーター)表面の荒損・荒れです。この状態が悪化すると、激しい火花が発生したり、整流不良を引き起こしたり、さまざまな障害が発生します。最悪の場合、コイル焼損に至ることも考えられます。
整流子表面の荒れは一般的に条痕(じょうこん)として発生します。整流子の円周方向に筋状の縦縞ができることはよくありますが、これが進むと条痕になります。条痕の発生原因は様々ですが、マイカ片(※マイカ=整流子のコイル間の絶縁物)、銅片、粉塵などが摺動面に混入した場合が挙げられます。また、マイカのアンダーカット(切り下げ)が不十分な場合(=ハイマイカ)や、オイルミストが浮遊し易い周囲環境にある場合も条痕発生の原因となります。また、交換したカーボンブラシの材質が合わない場合、負荷の高い環境で稼働している場合、または、回転中に火花が発生した場合は、段摩耗やブラックバーの原因となります。
代表的な整流子の荒れ状況
整流子の荒れ状況 | 説明 |
---|---|
条痕 | 整流子(コンミュテーター)の表面にできる細かな縦の溝やスジ状の痕跡 |
段摩耗 | 整流子(コンミュテーター)の各セグメント(バー)の表面が徐々に削られ、段階的に凹凸や溝が形成される現象 |
ブラックバー | 整流子(コンミュテーター)に存在する溝間隔部分が黒い色に変色する現象 |
条痕と段摩耗の発生事例
拡大図の凹んでいる部分が段摩擦
縦方向(ラジアル方向)についている溝が条痕
ブラックバーの発生事例
整流子片の周辺部にある黒い部分がブラックバー
釜石電機の直流モーター整備の特徴
整流子表面のメンテナンス
当社では、直流モーターの整備において整流子表面のメンテナンスを欠かしません。整流子の旋削、アンダーカット、面取りといった工程を丁寧に行います。特にアンダーカットでは整流子マイカと銅部分の高さを2-3mm程度に調整し、面取りには45度を目安に仕上げます。
カーボンブラシの調整
カーボンブラシの調整も重要なポイントです。当社では特段の指定がない限り、カーボンブラシの交換を推奨しています。必要に応じて純正品/相当品の準備も行います。ブラシホルダーや絶縁物の劣化も考慮し、必要に応じて製作や交換を行います。
回転子(アマチャー)コイルの巻き替え
直流モーターの回転子(アマチャー)コイルが焼損してしまった場合でも、コイルの巻き替えを行って、復旧いたします。当社は交流モーターのステーターコイルはもとより、直流モーター、巻線型モーターのコイルの巻き替え整備も施工可能です。主極コイル、補極コイル、アマチャーコイルなど、どの部分でも修理可能です。詳細なサービス内容については、コチラをご参考ください。
直流モーター整備の流れ
今回は、DCモーター560kWを例として、直流モーターの整備の流れを説明します。
直流モーターの整備・修理のご依頼について
直流モーターの定期的な整備は、コイル焼付きを防ぐためにも非常に重要です。ご質問やご依頼の際には、以下の問い合わせフォームからご連絡をお願いします。
直流モーターの整備・修理に関してご不明点があれば、お問い合わせフォームよりご照会ください。