大型モーターの無負荷試験の様子
大型モーターの無負荷試験の様子
多くの工場においてモーターは多くの機械・設備の心臓部とも言える存在です。そのため、モーターの定期的なメンテナンスと試験が欠かせません。今回のお役立ち情報では、無負荷試験の目的とその重要性について紹介します。
モーターの無負荷試験とは
無負荷運転の目的
無負荷試験は、文字通りモーターに負荷をかけずに動作させる試験のことを指します。これにより、モーター自体の基本的な動作や異常を確認することができます。
無負荷運転の重要性
モーターの試験の中でも、無負荷試験は、実際の運転負荷をかけずにモーターを動作させ、基本的な性能や異常をチェックする方法として非常に有効です。特に、モーター整備・モーター修理後には、機械と接続した負荷条件で稼働させる前に、無負荷試験で性能試験をすることが欠かせません。
当社の無負荷試験
当社は、比較的大型の容量のモーターでも無負荷試験が可能です。万が一の現場への搬入・取付後に何等かの異常が発覚し、再度持帰りなど出戻りを防ぐために、整備後に自社工場にて無負荷試験を実施して性能確認をしたうえで、納品いたします。後に、同試験記録を含めた整備報告書も提出いたします。また、モーターの状態に応じて、モーターの整備・修理前の試験も行ないます。
無負荷試験の実施方法
モーターを起動し、指定された時間、無負荷の状態で動作させます。当社では通常、温度上昇が安定するまで起動後約1時間運転をし、以下の項目について各基準に従って測定・試験を行います。
1.電流値の確認
- 使用ツール:クランプメーターを用いて定格電流値以内かを確認
- 基準:定格電流値の60%内であること
2.軸受(ベアリング)温度の確認
- 使用ツール:放射温度計を用いて軸受温度が異常な上昇をしないかを確認
- 基準:軸受温度-周囲温度≦40度
3.軸受(ベアリング)診断
- 使用ツール:マシンチェッカーを用いて以下の基準値内であることを確認
- 基準:0.7×D(軸(シャフト)径)×N(回転数)²×10⁻⁸以内
4.振動測定
- 使用ツール:振動計を用いて以下の基準値内であることを確認
- 基準:モーターの回転数に基づく(例:4Pの場合25/1000mm以内、等)
※測定箇所:V(垂直方向)、A(軸方向)、H(水平方向)、取付足a、b、c、d
5.その他
- 絶縁測定、コイル抵抗バランス測定
釜石電機製作所のモーター無負荷試験の適用範囲
機器種別 | 適用範囲 |
---|---|
交流モーター |
~300kW(400V/3000V) (6000V仕様の場合は3000V条件にて試験します) |
直流モーター |
~1000kW (A-H(電機子)に定格電圧をかけたうえで回転数を調整して試験します) |
※モーターの仕様に応じて、試験実施可否および試験方法は都度調整となります。
モーターの定期的な整備は、設備のダウンタイム削減のためにも非常に重要です。ご質問やご依頼の際には、以下の問い合わせフォームからご連絡をお願いします。
モーターの整備・修理に関してご相談ごとがあれば、お問い合わせフォームよりご照会ください。